配当控除で税金を取り戻す方法

この項目では、課税所得695万円以下の方が配当控除によって、税金(所得税・住民税)を取り戻す方法を紹介します。

課税所得とは?

所得税の確定申告書第一表

こちらの画像をご覧ください。前記「配当所得を申告しよう」のところで紹介したように、所得税の確定申告書第一表では、「30 課税される所得金額」に該当する金額が課税所得になります。

個人事業主であれば、売上から様々な経費を差し引き、さらに配偶者控除・扶養控除・社会保険控除・生命保険料控除・医療費控除・基礎控除などの様々な控除を行った後の金額となります。

この金額が695万円以下であれば、配当控除の手続きを行うことにより、税金が戻る可能性があります。

特定口座の損益通算を行う前に確認しておくべきこと

1、あなたの現在の状況を把握する。

こちらは前記「譲渡損失の繰り越し」「複数の特定口座の損益通算」と同じです。仮に課税所得が695万円以下であっても、確定申告を行うことによって、扶養控除・配偶者控除・住宅ローン控除・住民税・国民健康保険税などに影響するかもしれません。

「申告するとどの項目に影響が出るのか?」を把握しておきましょう。

2、申告の手間・時間と将来戻る税金を天秤にかける。

こちらも前記「譲渡損失の繰り越し」「複数の特定口座の損益通算」と同じです。配当控除は、前記の作業よりカンタンです。それでも、手続きが初めての方は計算が面倒かもしれません。時間と手間がかかることが予想されますので、比較検討をおすすめします。

以上の「1」「2」を全てクリアした上で、それでも配当控除の手続きをやってみようと考えている方は、↓を読んでいただければと思います。

株の確定申告の手続き

1、株の申告のために用意するもの

配当金の支払通知書と源泉徴収表(給与所得)

私たちが株を購入して配当を受け取る場合には、すでに配当金額の20%(所得税15%、住民税5%)が差し引かれています(※他に復興特別所得税があります)。例えば、配当金の総額が10万円であれば、8万円(所得税で15,000円のマイナス、住民税で5,000円のマイナス)がもらえる計算になります。

配当金の支払通知書はそれを証明するための書類となります。郵便振替支払通知書のコピーもしくは配当金計算書(金融機関振込の場合)を用意してください。

所得税の確定申告書(第一表・第二表)

所得税の確定申告書第一表
所得税の確定申告書第二表

この書類はどれも税務署でもらえます。プリンタがあれば、国税庁のHPからダウンロードできます。

2、年間配当金額を計算し、確定申告書第二表へ記入する。

他の所得とともに確定申告書第二表へ収入金額及び源泉徴収税額等を記入します。今回の配当控除に記入すべき項目は「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」「住民税・事業税に関する事項」の2ヶ所です。

所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)

所得税の確定申告書第二表

所得の
種類
種目 給与などの支払者
の「名称」及び
「法人番号又は所在地」等
収入金額 源泉徴収税額
配当 株式の配当 A社 50,000円 7,500円
配当 株式の配当 B社 40,000円 6,000円
配当 株式の配当 C社 10,000円 1,500円
48 源泉徴収税額の合計額 15,000円

※わかりやすくするため、復興特別所得税を省略します。

仮に配当所得ばかりであれば、↑のようになります。配当金の源泉徴収額は収入金額×15%となります。A社であれば「5万円×0.15=7,500円」です。

住民税に関する事項

所得税の確定申告書第二表

配当割額控除額・・・5,000円

住民税の「配当割額控除額」に5%分の「5,000円」を記入します。

また、給与所得の方で「他の収入を知られたくない」場合は、「自分で納付」を丸で囲んでください。

3、所得税の確定申告書(第二表)の数字を第一表へ転記する。

所得税の確定申告書第一表

配当控除・・・20,000円

最後に、所得税の確定申告書第二表で完成させた数字を元に、所得税分15,000円と住民税分5,000円の合計20,000円を、「配当控除 32」の項目へ記入します。

あとは、いつもどおりに所得税の確定申告書を完成させて、確定申告を行うと「52 還付される税金」の金額が戻ってきます(※確定申告を行う方の状況により、その金額は増減します)。

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