複数年の譲渡損失の繰り越し
不況・不景気が長期間続くと、株式投資の成績も長く低迷する可能性があります。しかし、年間成績のマイナスが続いても、過去3年分であれば将来の利益と相殺(そうさい)することができます。
前年(2年前)に譲渡損失の繰り越しを行ったのであれば、今回も続けましょう。
ここでは「特定口座(源泉徴収あり)」の投資家が、複数年の譲渡損失を繰り越す場合の手続きを紹介します。
株の確定申告の手続き
1、株の申告のために用意するもの
所得税の確定申告書(第一表・第二表・第三表)
特定口座年間取引報告書
証券会社で「特定口座」を選択していれば、毎年1月中旬~2月上旬(各証券会社によって異なります)に前年の「収入金額」「必要経費又は譲渡に要した費用等」「差引金額」 「所得金額」等が記載された特定口座年間取引報告書が証券会社から届きます。
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書(1面・2面)
所得税の確定申告書付表(1面・2面)
これらの書類は税務署でもらえます。プリンタがあれば、国税庁のサイトからダウンロードできます。
前年の(2年前の)株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
複数年の譲渡損失を繰り越す場合、前回の確定申告の際に提出した「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」の控え(下書き)があると便利です。もし、なくしてしまった場合は、損失の金額を証券会社のサイト等で調べてください。
前年の(2年前の)所得税の確定申告書付表
「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」と同じく、「所得税の確定申告書付表」も用意してください。
2、年間取引報告書の数字を計算明細書へ記入する。
例えば、以下のような特定口座年間取引報告書があれば、計算明細書へこのように記入します。※前記「譲渡損失の繰り越し」と金額は同じです。
特定口座年間取引報告書サンプル
・譲渡の対価の額(収入金額)・・・20万円
・必要経費又は譲渡に要した費用等・・・30万円
・差引金額・・・-10万円
・所得金額・・・0円
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の記入例(1面)
3、計算明細書の数字を確定申告書付表へ転記する
所得税の確定申告書付表記入例(1面)
計算明細書の「所得金額」の金額を確定申告書付表の「①上場株式等に係る譲渡所得等の金額」「②上場株式等に係る譲渡損失の金額」「③本年分の損益通算前の上場株式等に係る譲渡損失の金額」「⑤本年分の損益通算後の上場株式等に係る譲渡損失の金額」のそれぞれに転記します。
譲渡損失の金額ですので、マイナスを表す「△」を付けずに、全て「100,000」と記入します。
4、前年(2年前の)確定申告書付表(株式等に係る譲渡損失等の金額の計算明細書)の数字を本年の確定申告書付表へ転記する
たとえば、2年前の譲渡損失が「50万円」、1年前の譲渡損失が「100万円」とすると、確定申告書付表の2面は以下のようになります。
サンプル
・2年前・・・繰り越した損失額50万円
・1年前・・・繰り越した損失額100万円
所得税の確定申告書付表記入例(2面)
2年前の譲渡損失「50万円」は、「本年の2年前分」のところへ記入します。本年が黒字ではありませんので、「F(上場株式等に係る譲渡所得等の金額から差し引く部分)」の金額は「0円」です。50万円-0円=50万円ですから、「7」番も50万円となります。
1年前の譲渡損失「100万円」は、下の行「本年の前年分」のところへ記入します。本年が黒字ではありませんので、「H (上場株式等に係る譲渡所得等の金額から差し引く部分)」の金額は「0円」です。100万円-0円=100万円ですから、「8」番も100万円となります。
2年前と1年前の項目を書き終えたら、2年前の譲渡損失「50万円」と1年前の譲渡損失「100万円」、本年の譲渡損失「10万円」を全て足します。50万円+100万円+10万円=160万円ですから、「翌年以後に繰り越される上場株式等に係る譲渡損失の金額(5+7+8)」に160万円を記入します。
4、計算明細書及び確定申告書付表の金額を申告書第三表へ転記。
所得税の確定申告書第三表記入例(左側)
所得税の確定申告書第三表記入例(右側)
最後に、計算明細書及び確定申告書付表の金額を、申告書第三表へそれぞれ転記します。あとは申告書第一表・第二表を完成させて提出してください。
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