一般口座の確定申告
前回、特定口座と一般口座の特徴を取り上げました。ここでは、一般口座を開設している投資家向けに、株の確定申告の方法を紹介します。
株の確定申告を行う前に確認しておくべきこと
1、全ての証券会社の取引報告書(売買履歴)を手に入れる。
一般口座の確定申告を行う場合、投資家が自分で取引報告書(売買履歴)を作成する必要があります。取引をノートに記録(エクセルで管理)している投資家であれば、その記録を下記の「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」へ転記します。
記録・管理していなければ、昨年取引を行った証券会社の取引報告書を全て集めてください。ネット証券での注文であれば、ログイン後に取引履歴のページに移動してください。「去年1年間」と期間指定すれば、すぐに一覧が出てきます。
SBI証券の場合
ログイン⇒口座管理⇒取引履歴⇒約定履歴⇒「すべての商品」選択⇒約定日指定(例:2023/01/01~2023/12/31)⇒「照会」
楽天証券の場合
ログイン⇒「マイメニュー」→「口座管理」→「取引履歴(商品別売買履歴)の国内株式」⇒「約定日」に印を入れ、期間指定(例:2023/01/01~2023/12/31)⇒「表示」
2、取引報告書(売買履歴)を使って、一覧表を作成。証券会社ごとに損益を計算する。
手に入れた取引報告書(売買履歴)を全て集めたら、株式投資の収支(損益)がすぐに把握できる一覧表を作成します。エクセルで管理していれば、プリントアウトすれば、すぐに完成です。
一覧表が完成すれば、証券会社ごとに損益を計算します。特定口座を開設済みの投資家であれば、毎年もらえる「特定口座年間取引報告書」のような書類を作成すると良いでしょう。
なお、2019年分の確定申告から、特定口座年間取引報告書の添付が不要になりました。
株の確定申告の手続き
1、株の申告のために用意するもの
取引報告書(売買履歴)
証券会社で取引を行うと、取引報告書(売買履歴)が郵送される、もしくはサイト上で閲覧が可能になります。特定口座を開設していれば「特定口座年間取引報告書」がもらえますが、一般口座の場合は自分で作成する必要があります。
取引回数が多いと報告書作成の手間がかかる上に、同じ銘柄で小刻みに売買を繰り返すと取得価額の計算がややこしくなります。これらの作業が面倒だと感じたら、次回の確定申告前に、特定口座を開設することをおすすめします。
所得税の確定申告書(第一表・第二表・第三表)
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書(1面・2面)
この書類はどれも税務署でもらえます。プリンタがあれば、国税庁のHPからでも可能です。
2、取引報告書(売買履歴)の数字を計算明細書へ記入する。
例えば、上場株A食品の取引報告書(売買履歴)の場合、計算明細書へこのように記入します。
年間取引報告書サンプル
・購入・・・2月2日
・銘柄・・・A食品
・株数・・・100株
・株価・・・1,000円
・購入金額・・・10万円
・売買手数料・・・1,000円
・売却・・・3月2日
・銘柄・・・A食品
・株数・・・100株
・株価・・・2,000円
・売却金額・・・20万円
・売買手数料・・・2,000円
※購入・売却共に同じ年に行われました(B証券本店)。
計算明細書記入例
(収入金額)
・譲渡による収入金額・・・20万円
・小計(1+2)・・・20万円
(必要経費)
・取得費(取得価額)※1・・・10万1000円
・譲渡のための委託手数料・・・2,000円
・小計(4~6)・・・10万3000円
・差引金額(3-7-8)・・・9万7000円
・所得金額(9-10)・・・9万7000円
・繰越控除後の所得金額・・・9万7000円
※1 購入時にかかった売買手数料1,000円を購入金額に加算し、「取得費(取得価額)」の項目に記入します。「譲渡のための委託手数料」に加算して1,000円(購入時の手数料)+2,000円(売却時の手数料)=「3,000円」としないでください。
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の記入例(1面)
「株価1,000円のA食品100株を株価2,000円で売却した」という単純な取引です。計算明細書に記入すると、このようになります。
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の記入例(2面)
こちらは計算明細書の2面(下部)です。
「区分」には「上場株式等」にマルを入れ、「譲渡年月日」「譲渡した株式等の銘柄」「数量」「譲渡先(金融商品取引業者等)の名称・所在地等(証券会社の名前及び本・支店名)」「譲渡による収入金額(売却株価×株数)」「取得費(取得価額)」「譲渡のための委託手数料(売買手数料)」「取得年月日」の各項目を記入します。
2銘柄以上・2以上の証券口座を持っている場合は、証券会社ごとにまとめて数量・証券会社名・収入金額を記入します。
3、計算明細書の金額を申告書第三表へ転記。
所得税の確定申告書第三表記入例
最後に、先ほどの計算明細書の金額を、申告書第三表へ転記します。あとは申告書第一表・第二表及び第三表の残りを完成させて提出してください。
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