特定口座の確定申告
前回は一般口座の確定申告の手続きを紹介しました。ここでは特定口座の株の確定申告を取り上げます。
株の確定申告を行う前に確認しておくべきこと
1、全ての証券会社の特定口座年間取引報告書を手に入れる。
証券会社で口座を開設する時に特定口座を選択した投資家は、毎年1月から2月上旬にかけて、前年分の「特定口座年間取引報告書」が届きます。
事前に郵送ではなくWEB閲覧を選択している場合は、証券会社のサイトへログインすれば、特定口座年間取引報告書がダウンロード可能となります。
特定口座(源泉徴収なし)の投資家や複数の証券会社で特定口座を開設している投資家など、株の確定申告を行う方は特定口座年間取引報告書を全て手に入れてください。
株の確定申告の手続き
1、株の申告のために用意するもの
特定口座年間取引報告書
昨年1年間の合計金額が損益とともに記載されています。こちらの数字を「計算明細書」へ記入します。なお、2019年分の確定申告から、特定口座年間取引報告書の添付が不要になりました。
ここでは、2以上の複数の特定口座を利用した投資家のサンプルを紹介します。
所得税の確定申告書(第一表・第二表・第三表)
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書(1面・2面)
この書類はどれも税務署でもらえます。プリンタがあれば、国税庁のHPからダウンロード可能です。
2、特定口座年間取引報告書の数字を計算明細書へ記入する。
たとえば、A証券会社(特定口座・・源泉徴収あり)で20万円の利益、B証券会社(特定口座・・源泉徴収なし)で10万円の利益を得た投資家がいたとします。
・A証券・・・20万円の利益
・源泉徴収あり(源泉口座)
・税金4万円を納付済み
・B証券・・・10万円の利益
・源泉徴収あり(簡易口座)
・税金2万円の納付が必要
この場合、A証券会社では、20万円の利益に対する税金4万円がすでに納付された状態となっています。しかし、B証券会社の10万円の利益に対する税金2万円がまだ納付されていません。今回の確定申告によって、この2万円を納付する手続きを行います。
特定口座年間取引報告書に記載されているA証券・B証券の金額は以下の通りです。
特定口座年間取引報告書サンプル(単位:万円)
・収入金額・・・A証券50、B証券100、合計150・・・譲渡による収入金額、小計(1+2)
・取得費等・・・A証券30、B証券90、合計120・・・取得費(取得価額)、小計(4から6までの計)
・差引金額・・・A証券20、B証券10、合計30・・・差引金額(3-7-8)
・所得金額・・・A証券20、B証券10、合計30・・・所得金額(9-10)、繰越控除後の所得金額(11-12)
A証券会社とB証券会社から手に入れた特定口座年間取引報告書の金額をそれぞれの項目で足します。
(収入金額)
・譲渡による収入金額・・・150万円
・小計(1+2)・・・150万円
(必要経費)
・取得費(取得価額)・・・120万円
・小計(4~6)・・・120万円
・差引金額(3-7-8)・・・30万円
・所得金額(9-10)・・・30万円
・繰越控除後の所得金額・・・30万円
各項目の数字を「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」へ記入します。
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の記入例(1面)
A証券とB証券の金額を合計して記入すると、このような計算明細書になります。
「収入金額」の中にある「小計(1+2)」の金額「150万円」は申告書第三表「ツ」へ、「所得金額(9-10)」と「繰越控除後の所得金額(11-12)」の金額「30万円」は申告書第三表「72」と「80」へ、それぞれ転記します。
株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の記入例(2面)
こちらは計算明細書の2面(上部)です。
「区分」には、A証券会社が源泉口座、B証券会社が簡易口座にマルを入れ、「取引先(金融商品取引業者等)」には、A証券会社本店、B証券会社本店とそれぞれ記入、マルを入れます。
「譲渡の対価の額(収入金額)」「取得費及び譲渡に要した費用の額等」「差引金額(譲渡所得等の金額)」「源泉徴収税額」の各項目を記入します。
A証券とB証券の合計金額を「合計」の項目に入力します。
3、計算明細書の金額を申告書第三表へ転記。
所得税の確定申告書第三表記入例
最後に、先ほどの計算明細書の金額を、申告書第三表へ転記します。あとは申告書第一表・第二表及び第三表の残りを完成させて提出してください。
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