先人に学ぶNISA(ニーサ)活用法2017年版
2014年に始まったNISA口座も4年が経過しました。ジュニアNISA口座が加わったことにより、両口座を組み合わせた使い方が増えました。
そこで、今回は2016年との違いを紹介したいと思います。
個人投資家はNISA口座でどのように取引したのか?
NISA口座の保有残高ランキングの銘柄が入れ替わる
以下の画像は、2016年12月末の保有残高と2017年12月末の保有残高です。
NISA口座2016年12月30日保有残高ランキング
NISA口座2017年12月29日保有残高ランキング
ほとんど順位変動がなかったNISA口座の保有残高ランキングに変化が出てきました。優待銘柄の人気が高くなり、ライザップグループや、すかいらーくがランキングに入っています。
また、市場全体が大きく上昇したことで、ランキング銘柄の株価も値上がりが目立ちます。
日経平均株価は19,000円台から23,000円台まで上昇しました。衆議院議員選挙の9月から、海外投資家を中心とした買い注文が株価を押し上げました。年初予想で25,000円~30,000円になるという記事も出ています。
(2)高配当利回り銘柄よりも株主優待を選ぶ
ジュニアNISA口座は株主優待銘柄がメインとなり、その傾向がNISA口座にも波及しています。
本来、優待は非課税のため、NISA口座で買うメリットはあまりありません。しかし、市場全体の株価上昇によって、優待銘柄の株価も上昇しました。
その結果、売却益が非課税となるNISA口座で購入するメリットが生まれ、優待銘柄人気の要因となっています。
(3)低位株・超低位株をNISA口座で取引する
2016年と同じく、株価が1ケタ・2ケタの銘柄が買われています。
低位株・超低位株は株価が上がると上昇率が高くなるため、売却益が非課税となるNISA口座と相性が良いです。
また、非課税枠を使い切る際に低位株を購入する投資家もいるようです。年後半の出来高ランキングで低位株が多くを占める傾向がありました。
(4)決算銘柄で短期投資を行う
3月企業の決算発表の時期には、その結果で株価が急騰・急落する傾向が見られます。
NISA口座でもいわゆる「決算プレイ」を行う人が増加し、短期投資で積極的に活用する投資家が見られました。
(5)業績不振・不祥事企業の回復を待つ
中長期投資がメインのNISA口座では、一時的な業績不振の企業、不祥事企業がよく買われます。
2017年の注目は東芝でした。シャープの成功例を再現するかのように、年初にランキング上位となりました。
また、品質問題がきっかけとなり、日産自動車や神戸製鋼所などの不祥事企業の逆張り投資が目立ちました。
(6)NISA口座でマネーゲームを行う
上場廃止銘柄でマネーゲームを行う投資家もいました。
タカタは株価15円から153円まで10倍超も急騰し、投資家を驚かせました。上場廃止銘柄以外にも、エー・ディー・ワークスの新株予約権が、2円から24円まで12倍に急拡大しています。
どちらの銘柄も、NISA口座で取引すると手取りが多くなるため、ランキングでよく見かけました。
(7)レバレッジETFを取引する
「北朝鮮問題で株価が下落し、落ち着くと元に戻る」を繰り返したことで、「日経平均レバレッジ上場投信」、「日経ダブルインバース上場投信」などのレバレッジ型のETFが取引されました。
年後半の右肩上がりの局面でもその人気は衰えず、年間を通じて買われる銘柄となりました。
個人投資家はジュニアNISA口座でどのように取引したのか?
オリエンタルランドが買えなくなる
以下の画像は2016年12月末の保有残高と2017年12月末の保有残高です。
ジュニアNISA口座2016年12月30日保有残高ランキング
ジュニアNISA口座2017年12月29日保有残高ランキング
ジュニアNISAの非課税枠が年80万円のため、オリエンタルランドの株価が上昇して買えなくなりました。
ディズニーの1デーパスポートをもらうには、100株以上購入することが必要です。
株価1万円×100株=100万円
2016年に買った投資家は、株価上昇で大喜びです。しかし、ジュニアNISA口座ではもう買えません。NISA口座で買うか、もしくは、株価下落や株式分割を待つしかないでしょう。
一方、オリエンタルランドの株価上昇によって、取引できるライザップグループや、すかいらーくがランキングの常連となりました。
どちらの銘柄もジュニアNISA口座だけでなく、NISA口座でもよく買われて保有残高ランキングの上位を占めています。
株主優待銘柄を使い分ける
1年中買われる「定番の優待銘柄」と、月ごとに入れ替わる「権利確定月の優待銘柄」の2種類がありました。
前者は保有残高ランキングで上位の銘柄です。後者は権利確定月によく取引されました。
ジュニアNISA口座で優待銘柄を買うと保有期間が長いため、権利落ち後の株価下落時に安く手に入れる投資家もいるようです。
まとめ
2017年は、2016年以上に優待投資家が活躍した年と言えます。市場全体の株価上昇で個人投資家のフトコロが潤い、新規の投資にも積極的です。
しかし、2018年から「つみたてNISA」が始まります。つみたてNISAでは投資信託を購入するため、株主優待がもらえる個別株は対象外です。
さらに、従来のNISAとつみたてNISAは併用ができません。
多くの投資家がつみたてNISAを選択することを考えると、2018年はNISA口座の取引がかなり落ち着くと思われます。