先人に学ぶNISA(ニーサ)活用法2015年版
2014年から始まって、もうすぐ2年になる少額投資非課税制度、NISA(ニーサ)。昨年の2014年版に引き続き、今年も先人に学ぶNISA活用法を紹介します。
今回は、2014年版の活用法が変化したポイント、および2015年から追加された活用法をそれぞれ取り上げたいと思います。
個人投資家はNISA口座でどのように購入したのか?
(1)東証1部上場の有名企業を手堅く投資する
以下の一覧は、日本株保有残高トップ10銘柄です(2015年12月25日)。
銘柄 | コード | 2014 12/25 終値 |
2015 12/25 終値 |
損益 |
---|---|---|---|---|
みずほフィナンシャルグループ | 8411 | 202.3 | 238 | +35.7 |
三井物産 | 8031 | 1,610.5 | 1,405 | -205.5 |
イオン | 8267 | 1,189.5 | 1,836 | +646.5 |
キヤノン | 7751 | 4,026 | 3,730 | -296 |
武田薬品工業 | 4502 | 5,057 | 5,895 | +838 |
三菱UFJフィナンシャル・グループ | 8306 | 670.9 | 742.1 | +71.2 |
トヨタ自動車 | 7203 | 7,611 | 7,483 | -128 |
住友商事 | 8053 | 1,230.5 | 1209.5 | -21 |
ANAホールディングス | 9202 | 301.6 | 341.6 | +40 |
丸紅 | 8002 | 717.7 | 613.4 | -104.3 |
東証1部上場、さらには日経平均採用銘柄がランキングを占めています。2014年と比べて、三菱商事が丸紅に入れ替わっただけです。おそらく、三菱商事もトップ20に入っているでしょう。
2015年前半は、市場全体が好調でした。しかし、年後半は伸び悩んでいます。その影響がこれらの銘柄の成績にも色濃く出ています。
(2)株主優待よりも高配当利回り銘柄を選ぶ
2014年から変化したポイントは、高配当利回りに「安定的に」の文字が加わったことです。
配当利回りの高すぎる銘柄は敬遠されるようになりました。
(3)低位株・超低位株をポートフォリオに組み入れる→失敗する
低位株・超低位株をNISA口座で購入したものの、失敗が目立ちました。
2015年は倒産による上場廃止が3社、上場廃止基準に抵触した企業が6社(東福製粉のぞく)あったため、口座内の資産が大幅に目減りする投資家がいました。
しかし、低位株・超低位株を手控える動きはなく、依然として購入する動きは活発です。
(4)材料株・テーマ株で短期投資を行う
2014年と変化がありません。
(5)業績不振・不祥事企業の回復を待つ
こちらも2014年と変化がありません。
(6)NISA口座でマネーゲームを行う
(3)に関連する動きとして、上場廃止銘柄でマネーゲームを行う投資家がありました。
スカイマークや江守グループホールディングス、京王ズホールディングスなど、上場廃止が決定した銘柄の株価が急騰したため、売却益が非課税になるNISA口座を活用して、積極的にマネーゲームを行う投資家が見られました。
(7)レバレッジ型ETF・原油ETFをNISA口座で取引する
2015年は特殊なETFの人気が高まった1年でした。
日経平均株価などの主要指標が乱高下したため、個別株を購入するより、レバレッジ型のETFを購入することで、短期で大きな利益を手に入れる投資家が増えています。
また、原油価格(ガソリン価格)の下落が頻繁にニュースで取り上げられました。その結果、2016年以降の上昇を期待して、WTI原油ETF(1671)などを購入する動きが見られました。
(8)株価の急落時には、東証1部上場の有名企業の買い増しに走る
ギリシャショックや中国ショックなど、深刻な株価下落が発生したときは、(1)の有名企業がランキング上位に入りました。
「狙っていた銘柄が安くなったら購入する」という動きはなく、倒産の可能性が極めて低い「安心・安全な銘柄」を手堅く購入しているようです。
まとめ
2014年は「NISA口座での購入対象銘柄」という指標ができあがりました。
2015年は「短期投資は、より短期的に」、「長期投資は、より長期的に」と、NISA口座の活用法が二極化しています。
個人投資家それぞれが、自身の持つ投資法に合わせてNISA口座をうまく活用している姿がうかがえます。